◎住宅ローン(モルゲージ)は組めますか?また、どのようなローンがオススメですか?
〈ソーシャルセキュリティもしくはビザのない方〉・・・まず、クレジットヒストリー(米国のクレジットカードの返済履歴をスコア化したもの)やソーシャルを持たない外国人購入者(以下バイヤー)は、米国でクレジット、つまり「信用」がないため、その購入手段はほぼ100%の確率で現金となり、ローンが組めません。駐在員でもローンを組めますよ、紹介しますよなどとという不動産業者もいますが、そういったものは利息が大変高く、そんな業者は決して信用してはいけません。ご購入される場合は、現金一括でまずはご購入されてから、2件目のご購入または投資をご検討の場合は1件目を担保にしてローンを組むことは可能です。
〈米国内居住者もしくは国籍を持つ方〉・・・まずは、ご利用の銀行にどのくらいの住宅が購入できるのか、また、どのくらいローンが組めるのか、ご相談ください。では、変動金利というのは、誰がどのようなときに利用するのでしょうか?変動金利モルゲージはARM (Adjustable Rate Mortgage) と呼ばれています。ご存知の方も多いとは思いますが、これは借入金に対する銀行金利がマーケットに連動し変動していくわけですが、この金利変動は、通常一定の固定金利期間を過ぎた後に始まります。(ちなみに固定金利モーゲージのことは、FRM (Fixed Rate Mortgage)と呼ばれます。)
*ここではモルゲージとローンという言葉は同じ意味で使用しています。
このためARM商品には、例えば3/1 ARM とか、7/1 ARMのように、頭に数字がついており、この最初の数字が固定金利である年数を表します。例えば返済期間が30年の3/1 ARMの場合、最初の3年間が固定金利であり、その後27年間は変動金利となります。
またARMの固定金利期間の金利は、一般の固定金利モーゲージ(例えば30 Years Fixed)より低いのが一般的です。
【参照 】Bank Rateサイト:https://www.bankrate.com/mortgages/
例えば、30 Years Fixed の金利が4.125%のとき、15 year ARMが3.5%だった場合、7/1 ARMの金利、つまり最初の7年間の固定金利は、3.5%というような数字になるということになります。では、仮に7/1 ARMを利用し住宅ローンを借りたとして、固定金利期間が終了した7年後からは、金利はどのように変化するのかというと、実は予測は不可能なのが実情です。
理由は、金利上昇のルールが次に基づくためです。
・銀行によるマージン(Margin)
・金利上がり幅の上限 (Adjustment Cap)
・金利そのものの上限 (Maximum Rate)など
これらが契約書内に細かく設定されてるわけですが、実際の上昇率はマーケットのレートに連動するため、誰にも予測できないということになります。またどういった分野のマーケットレートに連動・変動するか、というのも商品により様々です。住宅ローンだからモーゲージマーケットのレートに連動するのでは?と思われるかもしれませんが、実際に利用されるのは、Bank Prime Loan Rate や 3-Year Treasury Constant Maturity Rate など、各商品の契約書に書かれた様々な経済指標(INDEX)が利用されます。
なんだからややこしい上に金利が変化していくARMというのは使い道がないように思われるかもしれませんが実際には以下のような場合によく利用されます。
- 一定期間しか物件を所有しないことが予めわかっている場合。
- 固定金利期間にローンを借りかえることを前提とした利用。
- 固定金利ローンの利用が難しい場合。
- 固定金利期間内にローンの返済が可能な場合。
1.「一定期間しか物件を所有しないことが予めわかっている場合」というのは、例えば7年間後の値上がり益を狙ったインベストメントとして物件を購入する場合や、マイホームとしての購入であっても予め5年以内には引っ越すことが決まっているような場合です。マイホームにせよ、投資にせよ、変動金利期間になる前に物件の売却を行うため、変動金利によるリスクは考えなくてもよい上に、通常の30 Years Fixedよりも低い金利でローンを利用できるということになります。
2.「固定金利期間にローンを借りかえることを前提とした利用」というのは、例えばマイホームを購入後の最初の数年間の毎月の支払いを低くするために5/1 ARMを利用し、その後収入などが増えた時点で固定金利ローンに借り替えをするという場合です。ただしこの場合には、借り替えをする際の金利がどの程度なのか予測するのが難しいというリスクがあります。
3.「固定金利ローンの利用が難しい場合」というのは、物件価格に対して30 Years Fixedローンでは借り入れ金額が足りない場合、金利が低い5/1 ARMなどを利用することで借り入れ金額を増やし、希望の物件の購入を行うという状況になります。この場合やはり、数年後に年収が上がることなどを前提に固定金利ローンへの借り替えなどを目指しますが、実際に計画通り年収が上がるかどうかや、借り替え時の金利がわからないことなどのリスクがあることに注意が必要です。本来であれば何とか頭金を増やし、借入額を下げることで固定金利ローンを利用するのが理想的といえます。
4.最後の「固定金利期間内にローンの返済が可能な場合」というのは、この言葉の意味そのままなのですがARMが変動金利期間に入る前にローンが完済できる場合、わざわざ金利の高い30 Years Fixedを使う理由はなく、完済可能期間にあわせ、3/1 や5/1 ARMが利用されるということです。
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